私、アラフォーのオッサン。嫁さんと子どもあり。 
M奈、25歳元スイマー。可愛い。 
M奈が入社したのは五年前、専門学校卒業しての就職でした。 
可愛いくて、溌剌としていて、キラキラ輝いて見えました。 
ただ可愛いというのは、私の主観で周りの評価は普通だったと思います。 
M奈は残念ながら違う部に配属されました。 
そんなM奈とどうして接点が出来たのか?それは本当に偶然でした。 
ある日、私のところに知らない書類が来ており、それを取りに来たのがM奈だったのです。 

M奈を間近で見た私は、思わず「可愛い」とつぶやいてしまいました。 
アラフォーの今では完全にキモいオッサンの言動ですが、当時はかろうじて受け入れてもらえたのでしょう。 
M奈は聞き逃さず、「ありがとうございます」と言ってくれました。 
それからは会うと親しく話しかけてくれるようになりました。 
しかしそれ以上発展することはなく、数年が経ちました。 

ある日嫁さんの実家で用事があり、嫁さんが子どもを連れて実家に帰りました。 
こんな時に限って仕事も早く終わります。 
晩御飯どうしようかな、などと考えていると、玄関でM奈と出会いました。 
久しぶりだったんで「M奈ちゃん久しぶり、相変わらず可愛いね」などと軽口を叩きました。 

いつもなら「ありがとうございます」って明るく返すM奈が反応ありません。 
「飲みに連れてってくれません?」M奈が反した言葉はこれでした。 
信じられないタイミングだと思いました。 
さすがに一緒はまずいので、いきつけの居酒屋を教えて別々に合流しました。 

いつも話しているとはいえ、M奈と二人きりははじめてです。 
しかも年齢も10歳以上離れています。私は少し心配になりました。 
しかしそんな心配は合流直後に吹き飛びました。 
M奈は先ほどとは違い、明るい彼女に戻っていたからです。 
M奈は酔ったのか、たまにタメ口になります。それがまた、距離を縮めているようで嬉しかったです。 
居酒屋を出る頃にはすっかり打ち解けていました。 
そして、ショットバーで飲みなおすことになりました。 

ここは10年くらいの行きつけで信頼できるところです。 
M奈はちょっと大人の雰囲気に目をキラキラさせてます。 
M奈に甘いベリー系のカクテルを注文すると、苺とラズベリーが乗ってきたのに感動してます。 
それを見て、つい「M奈ちゃんは本当に可愛いね」と言ってしまいました。 
それを聞いたM奈は黙り込み「そんなこと言ってくれるの課長(私の事です)だけです」と消え入りそうな声で言いました。 
異変に気付き顔を見ると、目にうっすら涙を浮かべています。 
そして堰を切ったように涙と彼氏に二股かけられた上、酷い振られ方したことを話はじめました。 

泣いてる女性の説得は苦手です。 
なだめて泣き止ませると潮時と判断し、会計を済ませました。 
店を出て、M奈だけをタクシーに乗せようとしましたが、M奈は嫌がり乗ろうとしません。 
無理やり乗せようとした私に対し、M奈は「あの言葉はウソなの?」と聞いてきました。 
あの言葉とは、ショットバーでM奈を慰める為に使った「抱けるなら抱きたい」と言う言葉でした。 
それはM奈が「女性として魅力ない」とか「女としては見れないでしょ」と言った言葉に対しての返答だったのですが、こうなると言葉が独り歩きします。