ほぼ種無しの俺に、過去『出来たかも…』って結婚を迫ってきた女がいた。

俺は出来ちゃった結婚などありえないと思っていたので、女に対しては、あまりこだわることなく、やれるならいいと思って適当に付き合っていた。

自分が種無しであると言って体の関係になる女なんていないだろうし、付き合う前にそんなことは言えずにいた。そんな時分に言われた懐妊の言葉。

はじめは本当かと期待もしたが、いつまでも半信半疑。取りあえずは『そうか、おめでとう!』って言って喜ぶも、裏事情で心底は喜べない。

「産みの親より育ての親」とは言うが、他人の子と知って育てるのもな…。

そんな時分に、黒人の子を出産した巨人の駒田選手の妻の話も耳にしたので、悶々としたまま、1ヶ月間嵌めまった。

時間ばかりが過ぎ、女は浮かれて式場のパンフを集めたり、親にも会わされ、とりあえず『孕ませました。すいません。』と半信半疑のまま頭を下げざるを得なかった。

こうして時間が進み、自分の中での未解決の部分は拡大し、心は荒む一方だった。まぁ、「俺が我慢すりゃいいんだし」と心を切り替えようとすればするほど、心は迷走する。

この女だが、見た目はすこぶる良い。

松雪泰子のような風貌で、しかも金持ちと来てる。

自らの給料は全額小遣い。しかも、家からの小遣いが50万円程度はあるのではないかと思わせる使いっぷりである。

大手一流企業の秘書課に腰掛けている娘。同じ洋服は着ないの!と言わんばかりにローテーションが長い。

しかし、どうしても心配だし、育ての親というのは養子とかのことを言うのであって、浮気とは違う訳で、そのことの踏ん切りがつくまでに相当の時間がかかった。

そして、自らの種無し検査を久しぶりに行い、妊娠させる能力のないことを知らされた。残念ながら、オタマジャクシは過去の検査よりも少なく、元気な奴はほとんどいないらしい。

そして、もうひとつの確認として、興信所にも頼んだ。